「運賃を20バーツに取り決め 2024年11月30日まで」赤字路線への起爆剤⁉ 手放しで喜べない運賃20バーツ政策の末路 “เคาะค่ารถไฟฟ้า20บาทถึง30พย.67”

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【今回の役立つ単語】ค่ารถไฟฟ้า=電車賃、ผู้โดยสาร=乗客

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「運賃を20バーツに取り決め 2024年11月30日まで」

“เคาะค่ารถไฟฟ้า20บาทถึง30พย.67”

  • เคาะ=ノックする、取り決める、制定する *ノックの音
  • ค่ารถไฟฟ้า=運賃、電車賃
  • 20บาท=20バーツ
  • ถึง=まで
  • 30พย.67=2024年11月30日 พย.=พฤศจิกายน


ครม.ไฟเขียวค่าโดยสารสูงสุด 20 บาท ตลอดสาย รถไฟชานเมืองสายสีแดง-สีม่วง “สุริยะ” ได้หน้านั่งรถไฟโชว์ คาดวันแรกมีผู้โดยสาร 2 สายรวม 1 แสนคนต่อวัน

  • ครม.=คณะรัฐมนตรี=内閣
  • ไฟเขียว=青信号、承認
  • ค่าโดยสาร=運賃
  • สูงสุด=最高で
  • ตลอดสาย=全線で
  • รถไฟ=鉄道
  • ชานเมือง=郊外
  • สายสีแดง-สีม่วง=レッドライン – パープルライン
  • “สุริยะ” =スリヤ氏(運輸大臣)
  • โชว์=Show=ショー
  • คาด=期待する
  • วันแรก=初日
  • ผู้โดยสาร=乗客
  • 2 สายรวม=2路線合わせて
  • 1 แสนคน=10万人
  • ต่อวัน=1日あたり

内閣は郊外路線であるレッドラインとパープルラインの全線で運賃を最高20バーツとすることを承認。先行試乗した「スリヤ氏」は初日2路線合わせて1日あたり10万人の乗客を期待。

今回の記事(2023年10月17日 ThaiPost)では、2023年11月16日よりレッドライン、パープルラインの2路線の運賃を最高20バーツとすることが承認され開始されたという話です。また現在の2路線の運営状況と20バーツ政策の今後の影響について深堀りします。

1.運賃20バーツの路線

2023年10月16日はレッドライン、パープルラインの以下の路線に対して最大運賃を20バーツとする閣議決定が行われ、どちらも2024年11月30日までの限定処理となります。

1. レッドライン (สายสีแดง) タイ国有鉄道(SRT)

 ナコーンウィティ線 (สายนครวิถี)
Krung Thep Aphiwat – Taling Chan (กรุงเทพอภิวัฒน์-ตลิ่งชัน)

 ターニーラタヤ線 (สายธานีรัถยา)
Krung Thep Aphiwat – Ransit (กรุงเทพอภิวัฒน์-รังสิต)

*子供、高齢者、僧侶へは50%割引、学生は10%割引。ただし変更前の運賃をベースとして20バーツを上回る場合に20バーツとなります。
*電車内に120分以上 滞在した場合、最高運賃である42バーツが請求されます。
*お問合せは www.srtet.co.th、SRTカスタマーサービス 1690 (24時間)

2. パープルライン (สายสีแดง)  タイ高速度交通公社(MRTA)
運営はバンコク・エクスプレスウェイ・アンド・メトロ (BEM)

 チャロン・ラチャダム線 (สายฉลองรัชธรรม)
Khlong Bang Phai – Tao Poon (คลองบางไผ่ – ตาปูน)

*一般14~20バーツ、子供・高齢者 7~20バーツ、学生13~20バーツ
*レッドラインへの乗り継ぎが20分以内の場合、両路線合計で20バーツとなります。11月1日開始予定で決済方法については以下へお問い合わせ下さい。
*お問合せは www.mrta.co.th、MRTAコールセンター 0 2716 4044 へ

【レッドラインの路線図】

https://www.srtet.co.th/en

【MRTA提供の路線図】

https://www.mrta.co.th/en/mrt-chalong-ratchadham

2.政府の予想

2023年10月16日からの最大20バーツ運賃とすることで、政府は初日の乗客数が2路線合わせて10万人レッドライン3万人パープルライン7万人)を見込んでいます。

【ニュース深堀り】

2023年10月22日のThairath(関連記事)では、現在のレッドライン、パープルラインの運営状況運賃20バーツにすることによる問題点をあげています。

レッドラインの利益目標と現状

レッドラインは2021年に開業し、現在も拡張工事が行われています。2018年SRTでは運行開始時は1日当たりの乗客を5万人以上とし、損益分岐点に達するには7, 8万人の乗客が必要と試算、7年目には黒字化し12万人の利用者を計画しています。

2023年8月13日SRTは2022年のレッドラインの乗客は1日あたり平均1万人と発表。2023年中には1日あたり平均2万人、2024年には乗客は15%増加すると予想しており、目標の7, 8万人には程遠い現状です。

パープルラインの利益目標と現状

パープルラインは2016年に開業し、現在も拡張工事が行われています。パープルラインは開業当初より乗客数が予想よりも少なく、開業から7年目の今年まで黒字化できていません。

MRTAはパープルライン開業当初、乗客数を1日7万3,000人と推定実際の乗客数は1日約2万人でした。MRTAの調査では11年間は赤字とし、その後は利益が出ると報告をしています。路線の問題としてバンスー駅(クルンテープ・アピワット駅)と始発のタオプーン駅との連絡の悪さを挙げています。

パープルラインの沿線は住宅街であるために旅行者の利用が見込めず、当初2023年では乗客数16万人に達する予定が実際には半分以下の7万人に留まっています。

運輸大臣が20バーツ政策の初日に期待した2路線で10万人の利用者では到底利益が出ず当初より乗客目標の予想が甘いとの指摘がされています。

運賃20バーツによる政府の補填額

記事では2023年1月~8月までの乗客数のデータを参考に、運賃20バーツにした場合の平均損失額を試算しています。

レッドライン
1 日の平均乗客数: 19,611人、平均日収: 59 万バーツ、 1日あたりのSRT社の賃金とメンテナンス費用: 131 万バーツ

  • 1日あたりの平均損失 72万バーツ

パープルライン
1 日の平均乗客数: 56,255人、平均日収: 141 万バーツ、1日あたりのMRTA・BEMの賃金とメンテナンス費用: 739万バーツ

  • 1日あたりの平均損失 598万バーツ

2路線を合わせた政府の補填額1日あたり670万バーツ年間24億5,200万バーツとなります。

運賃20バーツで乗客は増えたのか?

2023年10月16日の運賃20バーツ政策の開始から3日後の10月19日に乗客数が発表、実施前と比べて2路線の乗客数合計は以下の様になります。

  • 割引前 10月9~11日:28万7,252人
  • 割引後 10月16~18日:29万7,147人

結果2路線で計 9,895人の増加(増加率3.4%)となる微々たるものでした。

誰が望んだ政策なのか?

今回の20バーツ政策は誰が提案し、誰が望んだものでしょうか?

2023年5月に実施された下院総選挙期間中の3月24日、タイ貢献党(現在連立与党の中心の党で下院第2党)の首相候補の1人であったぺートンタン・チナワット氏がバンコクでの選挙戦の票集めのため、運賃20バーツ政策と50の地区に病院の建設と併せて公表したポピュリスト政策と言われています。

選挙の結果はご存知の通り、バンコクの全33選挙区では前進党(現在野党で下院第1党)が32選挙区の議席を獲得して圧倒的な勝利を収め、タイ貢献党はバンコクでは惨敗となりました。

今回の20バーツ政策は タイ貢献党が選挙中に掲げた政策はバンコク都民は響かず、当初結んだ前進党との連立を破棄し、旧与党とで連立政権樹立できたことで、バンコクでの人気回復のための政策ということが分かります。

既にタイ政府は年間1億3000万バーツの補填用の予算を承認。今回の政策のバンコクの一部の利用者のためにものですがタイ全国の税金で賄われます。地方では公共交通機関が十分でない地域もあり、地方からは不満の声も上がっています。

BTSへの20バーツ政策の影響

現在政府はバンコクの鉄道全線を20バーツにすることを計画しており、もっとも難関となるのはバンコク・スカイトレイン(BTS)です。

バンコク・スカイトレインは民間のBangkok Mass Transit System Public Limited(BTSC) 社が全額出資し運営もしています。1999年12月に開業、2002年には黒字を達成。

スカイトレインは2023年9月11日の1日あたりの乗車回数 89万回、乗客数 81 万人と発表されています。現在の運賃 17 ~ 62 バーツから計算すると平均運賃は1回あたり 39.50 バーツとなります。20バーツ政策が実施されれば、政府は 1 回あたり 19.50 バーツの補填をしなければならなず、 1 日あたり 1,657万5,000バーツ年間では約 60億バーツを補填する必要があります。

今回試算した3路線だけでも年間 84億5,200万バーツが政府より補填される計算です。

運賃20バーツ政策の課題

今回のThairathの記事では運賃20バーツ政策は現在一部の鉄道利用者に恩恵のある政策であり、レッドライン/パープルラインの利用者が伸びず、赤字体質から抜け出せないのであれば、タイ政府は全路線20バーツとする政策自体を見直す必要があるとしています。

またこの割引運賃の補填はタイ全国の税金が投入されており、割引の対象路線を増やすことでその額は更に増加します。地方では十分に公共交通機関が無い地域もあり、地方への支援が少なることへの不満も発生すると述べています。

タイ政府は20バーツ政策によりバンコクの電車利用を増やし、大気汚染の改善や交通量の削減による交通時の削減を期待していますが、今回の2路線の乗客数の目標と実際には大きな乖離があり、今後の乗客が増えていくのか慎重に評価を続ける必要があります。

また、今後は最低賃金上昇による電車利用者の増加を見込み、鉄道各社に駅周辺の利用を認めて運賃以外の収入を増やすなど政府負担軽減策も検討しているとのことです。

補足:財源が足りない

タイ貢献党は現在の旧与党との連立を発表する直前に 10,000バーツの電子ウォレットを16歳以上のタイ国民に配布するタイ国民に対するポピュリスト政策を発表しています。しかし、未だに財源についての明確な説明がされておらず調整が繰り返されています。

タイ政府は来年2024年より180日タイに滞在する人の海外の収入に対する課税を強化を発表、またタイランドエリート価格も2023年10月から値上げしており、財源の確保はまずは外国人からという怖い対応になっています。

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